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徒然草のように

個人ブログです。

【書評】5人の作家がリレー形式で書く、JOY!について書いてみました【嶽本野ばらさん、角田光代さん、唯野未歩子さん、井上荒野さん、江國香織さん】

書評
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このJOY!という本は、嶽本野ばらさん、角田光代さん、唯野未歩子さん、井上荒野さん、江國香織さんの5人がリレー形式で一つの物語を描く、一風変わった形の小説です。

1980年代バンドブームの時代にインディーズで活動していた「ガーゼスキンノイローゼ」のボーカリスト、JOY。

嶽本野ばらさんの描く第1章「プリンセスプリンセス」では、このJOYに恋をする女性、まりんのお話です。

中学3年生で親に「お前、進路はどうするんだ?」と聞かれるという、不思議な展開から始まります。

義務はないんだから学費も払わないぞ、というポリシーなのです。

そのポリシーは、必死に勉強して難易度の高い学費があまりかからない都立に合格しても、変わることはありませんでした。かなりお金に困っていたのでしょう。

彼女は仕方なく、さびれた池袋の喫茶店で、寝る間も惜しんでアルバイトを始めます。

学校にも行きながらですから、相当な殺人的スケジュールです。

しかし、この喫茶店で出会った1人の男性に持ちかけられた(というか、騙された)割のいいアルバイトで生活は一変します。

そのアルバイトは、なんと高円寺でのピンサロ嬢。

彼女はそこで「まりん」と名付けられます。

まりんは学費を払うのがやっとだったのに、お洒落もし放題。

そして当時ライブハウスに出てビッグになることを目指していたJOYに出会います。

このような、嶽本野ばらさんのかなり壮絶な幕開けで「JOY!」は幕を開けます。

角田光代さんの「楽園」では何の取り柄もない太った高校生がJOYに狂い、結婚までしてしまう話。

角田光代さんの話は、かなりの狂気を持っていると感じました。

ですが、これが純愛なのかも。

唯野未歩子さんの「17歳」ではJOYがパパなんじゃないかと思ってしまった女の子の話。

つまり、他とは時代が少し違います。

唯野未歩子さんの文体は、他の作家さんとだいぶ違います。

これを読みやすいと感じる方もいるかもしれません。

最初に読んでもいいかも。

井上荒野さんの「All about you」では、妻のいる男性の愛人が、とあるきっかけでセーラー服を着てガーゼスキンノイローゼのライブに行くようになるという話。

井上荒野さんの話が、一番重いかもしれません。

ですが、角田光代さんの話に出てきた時は心優しい女性だったので、ギャップに驚きもしたし納得もしました。

最後の江國香織さんの「テンペスト」はミュージシャンをやめたJOY、縄田さんと恋愛とは言わずとも関係を持ってしまう話。

江國香織さんの作り出す登場人物に独特の雰囲気を感じます。

最後には、JOYの復活ライブで全員が集まります。

JOY!是非読んでみてください。

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