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徒然草のように

個人ブログです。

【書評】伊坂幸太郎さんの「ゴールデンスランバー」を読んでの感想を書いてみました、その他etc

書評
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私が紹介したい、是非読んでもらいたい作品がこの「ゴールデンスランバー」。

伊坂幸太郎さんといえば、鮮やかな伏線回収が特徴的ですが、この作品も「そうきたか!」と思わせるような展開が待ち受けています。

首相のパレードが行われている最中、突如爆発が起きて首相が殺されてしまうのですが、犯人にされてしまったのは主人公の青柳。

濡れ衣を着せられた彼はどうにかこうにか、様々な人の助けをもらいながら逃げていく、というお話。果たして青柳は逃げ切ることができるのか……。

日常的な描写が多いのですが、その日常の中にも伊坂さんならではの伏線が張り巡らされています。

なので一つ一つの設定や言葉が見逃せなくなります。

一方、かつての同級生たちとの会話や、青柳を通してそれぞれの登場人物が交差していく姿はなんだかぐっとくるものがあります。

私にもこうやって助けてくれる人がいるのかなぁ……と思ってしまったり。

特に青柳の大学の友人たちとの回想シーン、彼の父親の言葉など胸を打たれます。

タイトルのゴールデンスランバーというのも、友人たちとの会話を思うと頷けるものがあります。

物語は逃走劇であり、悲しい場面もあるのですが、その中でも生きて生きて生き抜こうとする青柳の姿は応援したくなるような気持ちにさせてくれます。

伊坂さんの作品は何作か映画化していますが、これも堺雅人さんが主役で映画化にもなった作品。映画ではタイトル「ゴールデンスランバー」と同名(というより由来となった)曲が流れ、彼らの思い出の美しさと切なさがひしひしと伝わってきます。

映画は見た人も、まだという人も是非手にとってみてください。ページから伝わる疾走感に、手が追いつかなくなりますよ!

伊藤緋沙子さんの描くマダムクロードの自伝とパリの社会の光と影

好きなエッセイストで伊藤緋沙子さんの作品が何度も読見返してしまう愛読書になっています。

伊藤緋沙子さんはおもに貴族の男爵夫人や特に海外の上流社会の(大変しきたりなどが厳しく、だけどウィットに富んだ)礼節を解りやすく私達にも日常に取り入れやすく解説と独特の着眼点で書かれたエッセイの作品は大変刺激的です。

伊藤緋沙子さんの作品のほとんどは上流社会で生きる夫人や知識階級がモデルになっていますがその中で唯一以外なモデルケースがマダムクロードでしょう。

マダムクロードは60~70年代にパリで高級娼館のマダムとして話題になった実在の女性ですが特筆すべきはその美意識の高さです。

マダムクロードの上流の顧客達を夢中にさせた数々の女性としての身だしなみのテクニックなどが上流マナーブックなどを翻訳してきた伊藤緋沙子さんの視点で実際にパリでマダムクロードに会った印象などを「華麗なショックをうけた」と強い感銘をうけて執筆をされたことを書かれています。

マダムクロードの自伝(翻訳は伊藤緋沙子さん)は私達日本人には衝撃的な内容とすごく伝えたいと感じさせるのはふつう人からもっとも蔑まれる職業(娼婦)についている女達のマダムクロードのテクニックの伝授によって成功したケースを書く事で私達の日常でも取り入れる事のできるマナーの奥深さを貴族の上流夫人達とはまた違う視点で書かれている画期的な作品です。

第1回本屋大賞を受賞された小川洋子さんの作品を読んでみました

私が小川洋子さんと出会ったのは、第1回本屋大賞を受賞した「博士の愛した数式」でした。

あれ良かったよ、と知り合いが薦めてくれたので読み始めたのですが、小川洋子さんの文章はとても読みやすく、まるで静かに流れゆく、それこそ小川のようで、穏やかな文章が心に気持ちよく染み入ってきました。

博士の愛した数式」では、9歳の息子がいる主人公が、家政婦として、数学をこよなく愛する老人男性《博士》のお世話をしながら、彼への親愛の情や数学に対しての見識などが次第に深まっていく、そんな作品です。

息子を交えて3人で数学に取り組んだり、プロ野球ゲームを見に行って楽しんだり。事故の後遺症で80分しか記憶が持たない博士に、主人公は真摯に相対していきます。そして数字の持つ魅力に、感動を覚えます。

小川洋子さんはよく『静謐な筆致』と評されますが、たくさんの文章が重なり合い、一つになって、静けさをもたらします。

おまけに「博士の愛した数式」では、数学、特に奇数に対しての知識がかなり出てくるのですが、どれも複雑すぎず分かりやすく綴られています。

数学と文学の結婚とはよくいったもので、読めば読むほどに数学に対する自分の興味までもが高められていきました。

読み終えた時には涙が流れて、読んで良かった、と心の奥底から満足感がこみあげてきました。

後に「ブラフマンの埋葬」「猫を抱いて象と踊る」なども読みましたが、静かな筆致でこまやかな描写、見事だと感服いたしました。


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